米マイクロソフトは9月9日(現地時間)、柔軟な働き方の指針を見直し、従業員に週3日の出社を求める新たな方針を示した。人事担当のエイミー・コールマン執行副社長が社員に通知し、公式ブログで公表した。
導入は段階的に進める。まずワシントン州の本社があるピュージェット湾地域で始め、同地域の拠点から50マイル(約80キロ)以内に居住する従業員について、2026年2月末までに週3日の出社を基本とする。続いて米国内の他拠点に広げ、その後に米国外の拠点でも計画を策定するとしている。
同社は、対面の機会を増やすことで従業員が「より活力を得て成果を上げる」というデータがあると説明し、AI時代の製品開発を加速させるにはリアルな協働が重要だと強調している。今回の見直しは人員削減を目的としたものではないとしている。
対象となる従業員には個別にメールを送付し、必要があれば9月19日まで例外申請を受け付ける。各事業部の判断で会社全体の方針から一部逸脱する可能性もあるとして、詳細は順次示すという。
フルリモート廃止「データは明確」
週3出社を導入する理由について、人事担当のコールマン執行副社長は次のように理由を説明した。以下は、公式ブログに掲載された英文の一部を和訳したものだ。なお太字は編集部によるものとなる。
私たちの働き方は永遠に変わりました。私は90年代後半にマイクロソフトに入社した当時を覚えています。いつもオフィスにいて、ノートPCは持たず、基本的には同じフロアのすぐそばにいる同僚と仕事をしていました。技術が進化し、事業が拡大するにつれて、私たちはよりオープンに、よりグローバルになり、想像もしなかったやり方でスケールできるようになりました。
そこへパンデミックが起こり、すべてが再編成されました。働き方を別の角度から考えるよう背中を押し、これまでになくつながることができるようになり(Teams に感謝!)、一緒にいることの価値を思い出させ、日々の業務でもより集中でき、裁量を発揮できるようにしてくれました。私たちは元には戻りませんし、戻るべきでもありません。学んだことの最良の部分を生かして、前に進むべきです。
AIの時代に私たちはこれまでになく速く動き、人々の暮らしや働き方、そして世界中の組織の運営を変える世界水準のテクノロジーを築いています。歴史を振り返れば、最も意義深いブレークスルーは、互いのアイデアをリアルタイムに重ね合わせるときに生まれてきました。
私たちはチームが最も力を発揮する働き方を検討しましたが、データは明確です。対面で一緒に働く機会が多いほど、人はよりエネルギッシュになり、裁量が増し、より高い成果を上げます。AI時代を規定する製品をつくっていくうえで、賢い人たちが肩を並べ、難しい課題を共に解くことで生まれるエネルギーと推進力が必要です。

原文
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働き方の理想と現実、その折り合いをどうつけるかが次の課題になりそうだ。
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