ジェネラティブエージェンツの大嶋です。
「AIエージェントキャッチアップ #49 – Byterover Cipher」という勉強会を開催しました。
generative-agents.connpass.com
アーカイブ動画はこちらです。
Byterover Cipher
今回は、コーディングエージェント向けのメモリーレイヤー「Byterover Cipher」をキャッチアップしました。
CipherのGitHubリポジトリはこちらです。
公式ドキュメントはこちらです。
今回のポイント
Byterover Cipherとは
Byterover Cipher(以下Cipher)は、コーディングエージェント向けに設計されたメモリーレイヤーのOSSです。
MCPで接続することで、Claude Codeなどの各種コーディングエージェントで使用することができます。
Cipherのメモリシステム
Cipherのメモリシステムは、4層のストレージアーキテクチャと3種類のメモリシステムで構成されています。
4層のストレージアーキテクチャ
- キャッシュ層:一時データやキャッシュのための高速な揮発性ストレージ
- データベース層:永続的なデータのための信頼性の高いストレージ
- ベクトルストレージ層:意味検索のための高次元ベクトルストレージ
- ナレッジグラフ層:エンティティの関係の管理のためのグラフデータベース
3種類のメモリシステム
- ナレッジメモリ(Knowledge Memory):ナレッジメモリは、会話から抽出された事実情報、技術的概念、および分野固有の知識を保存します。埋め込みベクトルによる意味検索に使用します。
- リフレクションメモリ(Reflection Memory):リフレクションメモリは、エージェントの思考プロセスと意思決定パターンを記録し、パターン認識を通じて継続的な学習と改善を可能にします。
- ナレッジグラフ(Knowledge Graph):ナレッジグラフは、エンティティ間の関係をモデリングし、ナレッジベースに対する複雑なクエリや深い理解を可能にします。
CipherをCLIで動かしてみた
Cipherはnpmパッケージとして提供されており、以下のコマンドでインストールできます。
npm install @campfirein/cipher
.envファイルにOPENAI_API_KEYを設定したうえで以下のコマンドを実行すると、Cipherが起動しました。
npx cipher

「こんにちは」などの入力に対して、AIが応答を返してきます。

Cipherには、記憶管理のためのエージェントが実装されていて、他のエージェントから呼び出すことを想定されているようです。
Web UIの起動
Cipherでは、以下のコマンドでWeb UIを起動できるとのことです。
npx cipher --mode ui
残念ながら、今回試した範囲ではうまく動作しませんでした。

MCPサーバーとしての設定
Cipherは、MCPサーバーとしてコーディングエージェントから使用できます。
Claude Codeで使用するため、mcp.jsonに以下のように記述しました。
{ "mcpServers": { "cipher": { "command": "uv", "args": [ "--directory", "/workspaces/workspace", "run", "dotenv", "run", "npx", "cipher", "--mode", "mcp" ] } } }
※uv --directory /workspaces/workspace run dotenv runの部分は、python-dotenvを使用して.envファイルを読み込むための記述です。
この状態でClaude Codeを起動すると、ask_cipherというツールが利用可能になります。

コーディングエージェントはask_cipherツールを使用して、Cipherのエージェントに対して情報の保存や検索を依頼することができます。
Aggregator Mode
CipherをMCPサーバーとして使用する際、以下の設定を追加すると「Aggregator Mode」となります。
"env": {
"MCP_SERVER_MODE": "aggregator"
}
Aggregator Modeでは、もともとCipher側のエージェントが使用可能なツールが、MCPクライアント側のエージェントで使用可能になるようです。

次回のご案内
以上、今回は「Byterover Cipher」をキャッチアップしました。
次回は「AIエージェントキャッチアップ #50 – MCP Registry」ということで、App StoreのようにMCPサーバーを提供する仕組みがテーマです!
generative-agents.connpass.com
ご興味・お時間ある方はぜひご参加ください!
また、その次の回以降のテーマも募集しているので、気になるエージェントのOSSなどあれば教えてください!
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