

株式会社ココナラの2025年8月期通期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!
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一目でわかる! 決算情報のグラフィックまとめ
ココナラの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をまとめました。


ココナラの今期決算では、ITフリーランス向けエージェントサービスの「ココナラテック」がグループに加わり、新たに立ち上げた「ココナラアシスト」も順調に成長した結果、売上高は94.1億円(前期比42.8%増)と大幅増収を達成しました。売上総利益、EBITDAともに過去最高を更新し、親会社株主に帰属する当期純利益は3.1億円(前期比25.9%増)となりました。
もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?
ココナラの今期決算について、主に決算短信の情報をもとにセグメント別の業績や業績予想について詳しくまとめました。


マーケットプレイス
マーケットプレイスセグメントは、個人の知識・スキル・経験を売買するEC型サービス「ココナラスキルマーケット」や、弁護士検索サービス「ココナラ法律相談」などを運営する事業です。今期は新たなマッチング機能の拡充に注力しました。
2024年12月には定期購入機能をリリースし、オンラインレッスンやコンサルティングなど継続的な取引が発生するカテゴリの取引環境を整備。2025年4月には、企業が自ら人材を検索しアプローチできるスカウト機能「ココナラスカウト」を開始し、100万人超の人材データベースを基盤に多様な企業ニーズに対応可能なインフラへと拡張しました(決算説明資料、p.16)。
この結果、マーケットプレイスの売上高は57.2億円(前期比13.2%増)となり過去最高を更新。セグメント利益は5.6億円(前期比6.1%減)となりました。これは広告宣伝費等の一過性投資負担増加が主な要因です。
エージェント
エージェントセグメントは、ITフリーランスと企業をつなぐ「ココナラテック」、アシスタント人材を提供する「ココナラアシスト」、クリエイター紹介の「ココナラプロ」などを展開する事業です。
2024年8月期に立ち上げた「ココナラアシスト」の急成長により、クライアント数は前年同期比37%増の444社、エージェント稼働者数は同42%増の794人と大幅に拡大しています(決算説明資料、p.19)。
さらに2025年9月には、ココナラアシストにおいて営業チャネル設計から運用まで一気通貫でサポートする「プロフェッショナル営業代行サービス」を開始。企業が抱える営業課題に対して、100万人のスキル登録者の中から営業代行のプロ人材を厳選し、専門の営業チームを編成して対応する新サービスを立ち上げました(決算説明資料、p.20)。
この結果、エージェントの売上高は36.9億円(前期比140.4%増)と大幅に増収となりました。セグメント損失は2.8億円(前期は2.4億円の損失)となりましたが、これは第4四半期に積極的な採用を行った影響によるものです。今後の成長に向けた営業基盤の整備が進捗しており、大幅な売上増加とセグメント利益改善を見込んでいます。
来期の業績予想について


ココナラは2026年8月期の通期連結業績予想として、売上高110億円(前期比16.9%増)、営業利益4.5億円(前期比75.7%増)、経常利益4.5億円(前期比98.0%増)、純利益3.6億円(前期比17.3%増)を見込んでいます。
IR担当者に聞いた! 今期決算資料の注目トピックは?
今回は、ココナラのIR担当者に今期決算資料の注目トピックについて伺いました。


ココナラIR担当者
マーケットプレイス事業にて培ったスキル情報を伴う圧倒的な「①人材データベース」と、東証プライム上場企業の約3割を含む強固な「②顧客基盤(顧客データベース)」が当社の強みの源泉。これらを活かし、特に『ココナラアシスト』が順調に進展しており、今後の成長に大きく寄与すると見込んでいます。


ココナラIR担当者
今後の定量目標として、現状の延長のみでもFY2030には最低限営業利益15億円は達成すると考えており、事業が立ち上がり始めた『ココナラアシスト』などがこれに大きくアドオンしていきます。さらに、M&A等を通じた非連続的な成長による上振れ余地も見込んでいます。


ココナラIR担当者
『ココナラアシスト』は、顧客ニーズが含まれたマーケットプレイス事業由来のデータベースを活用し、通常発生する案件獲得コストを最小限にし、効率的に案件を創出しています。圧倒的な人材データベースと組み合わせた高精度マッチングにより、案件拡大が収益成長に直結するフェーズとなっています。
HRog編集部の今期決算注目ポイント


ココナラは「すべてが揃うサービスプラットフォーム」の確立に向けて、具体的な成長方針を策定しました。
エージェント事業は、ココナラアシストを中心として「第二の成長の柱」となることを目指します。ココナラテックは正社員エンジニア活用によるクオリティ向上と案件大型化、ココナラアシストは成功モデルの拡大に向けた営業人員の大幅拡充とBPO事業を本格化させる方針です。


これにより、現場レベルでの業務サポートから経営レベルのコンサルまで一気通貫の支援を実現していきます。
まとめ~人材業界の最新トレンドは?~
今期のココナラは、前期比+42.8%と過去最高の売上を達成しました。中核のマーケットプレイス事業が着実に成長する一方で、エージェント事業が新たな成長ドライバーとして急速に存在感を高めています。
人材業界において注目すべきは、ココナラが持つ「120万人超の人材データベース」という圧倒的な資産を、単発のスキルマッチングだけでなく、継続的な業務委託や専門人材紹介といった高付加価値領域へと展開し始めている点です。特にココナラアシストは、営業力とデータベースを融合させることで、クライアント数・稼働者数ともに前年比40%近い急成長を実現しました。
日本の労働人口減少と人手不足の深刻化が進む中、ココナラは単発から継続案件まで、あらゆる人材ニーズに応えられる「すべてが揃うサービスプラットフォーム」への進化を加速させています。2030年までに営業利益15億円以上を目指すという明確な目標も掲げられ、人材マッチング市場における存在感はさらに増していくでしょう。
HRog編集部では、人材業界のプラットフォーマーとして新たなステージに入ったココナラの動向に、引き続き注目していきます!
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