

パーソルホールディングス株式会社の2026年3月期第1四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!
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一目でわかる! 決算情報のグラフィックまとめ
パーソルの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。


もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?
パーソルの今期決算について、主に決算短信をもとにセグメント別の業績について詳しくまとめました。


Staffing SBU
国内で事務領域を中心に幅広い業種に対応した人材派遣事業および事務職を中心とした人材紹介事業を展開しています。
今期第1四半期は、派遣就業者数が安定的に成長し、請求単価も想定通りに推移しました。また、人材紹介はYoY+9.3%と、前期に引き続き好調を維持しました(決算説明資料, p.10)。
以上の結果、売上収益は1,530億円(前年同期比3.7%増)、調整後EBITDAは102億円(同5.2%増)と増収増益を達成しました。
BPO SBU
BP受託請負のBPO事業を主として展開しています。今期は2025年2月に取得したパーソルコミュニケーションサービス株式会社(旧富士通コミュニケーションサービス株式会社)により、売上収益では58億円、調整後EBITDAでは4億円の寄与がありました(決算説明資料, p.15)。
以上の結果、売上収益は339億円(前年同期比24.7%増)、調整後EBITDAは12億円(同32.0%増)と大幅な増収増益を達成しました。
Technology SBU
IT領域やエンジニアリング領域の設計・開発受託事業や、技術者を専門とした人材派遣事業を展開しています。今期はエンジニア増により増収を達成した一方、新卒社員の増加により一時的に稼働率が低下しました。
以上の結果、売上収益は292億円(前年同期比11.7%増)、調整後EBITDAは8億円(同25.2%減)となりました。
Career SBU
Career SBUは、正社員の中途採用支援を行う人材紹介事業や、求人メディア「doda」を展開しています。今期は求人メディアがけん引し増収を達成、マーケティング投資を計画通り積極実施しながらもコストコントロールにより増益となりました。
また、ボリューム層(年収帯400~600万円)では個人・法人ともに引き続き慎重な姿勢が見られる一方、ハイクラス層(年収帯600万円以上)では高成長が継続しています(決算説明資料, p.18)。
以上の結果、売上収益は393億円(前年同期比6.4%増)、調整後EBITDAは104億円(同10.4%増)と、増収増益を達成しました。
Asia Pacific SBU
アジア地域で人材サービス事業、豪州においては人材サービス事業およびファシリティマネジメント事業などを主に展開しています。今期第1四半期は為替影響により減収となったものの、現地通貨では増収を達成しました。
以上の結果、売上収益は1,154億円(前年同期比4.0%減)、調整後EBITDAは21億円(同36.9%減)となりました。
今期の業績予想について


2026年3月期の連結業績予想に変更はなく、売上収益1兆5,400億円(前期比+6.1%)、調整後EBITDA865億円(同+10.4%)、営業利益660億円(同+14.9%)、純利益410億円(同+14.3%)を見込んでおり、調整後EBITDAの二桁成長を目標とし、過去最高益の更新を目指します。
第1四半期の進捗状況を見ると、調整後EBITDAは進捗率25.2%と順調に推移しています。
今期決算の注目トピックは?
パーソルは2025年7月22日、グループの事業戦略等を発表する「IR DAY 2025」を開催。2024年は各セグメントの事業説明会が主な内容でしたが、今年は「AI・DXを軸としたグループの取り組みと今後の方向性」をテーマに開催されました。
同社は、テクノロジー活用による顧客体験と従業員体験の向上と進化を戦略として掲げています。


コア事業の価値創造では、dodaが2019年からAIマッチングを内製化で進めていることが語られ、2021 年にはAIによる求人紹介が30%程度だったものが2024年には約50%と大幅に増加していると発表されました。
AIマッチングにより、一人当たりの書類選考合格数も2020年から2024年にかけて30%超増加しています。


職場のデジタル化の推進では、同社が社内向けに内省開発した「パーソルチャットアシスタント」について語られました。ラーニングコミュニティには4,000人超が、学習プログラムには累計6,000人が参加しており、社内版GPTによる利益貢献額は10億円を超えているとのことです。


またテクノロジー戦略の目玉として、「CoE(センター・オブ・エクセレンス)」という取り組みも発表されました(IRDAY2025書き起こし,p.18)。グループ親会社であるパーソルホールディングスで専門性の高いテクノロジー人材を一括採用し、その人材を各セグメントに派遣することでDX化やAI化を推進していく戦略です。


同社は最後に、単純にAI を使うということではなく、パーソルらしい AI 活用を目指していきたいと強調。ノンコア業務は徹底的にAIによる自動化・省力化を行い、コア業務はAI・独自データ・人によって競争優位の創出を図ります。
まとめ~人材業界の最新トレンドは?~
中期経営計画の最終年度を迎えたパーソルは、安定した基盤事業に加え、AI・テクノロジーの活用を社内外問わず推進しています。
IR DAY 2025では「現在、次期中期経営計画における戦略の中で何をコアにしていくかについて検討しており、…しっかり今年度中にそのコンセプトを固め、次期中期経営計画のテクノロジー戦略の中で、また新たなフェーズに向かっていきたい」とコメント(IRDAY2025書き起こし,p.23)。
派遣や人材紹介といった基盤事業を安定成長させつつ、AIマッチングや社内GPTの活用で顧客体験・従業員体験を高める取り組みは、人材業界全体だけでなく、どの企業にとっても必要不可欠になる戦略になっていくかもしれません。
次期中計に向けAI・テクノロジー戦略を打ち出し、さらなる成長への動きを加速させるパーソル。HRog編集部では引き続きその動向を追っていきます!
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【参考URL】
パーソル2026年3月期第1四半期 決算短信
パーソル2026年3月期第1四半期 決算説明資料
パーソル2026年3月期第1四半期 決算説明書き起こし
パーソル2026年3月期第1四半期 FAQ
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