
こんにちは、株式会社ラクスでデザイナーをしているかっつです。
今回は私が所属しているプロダクトデザイン3課でデザインレビューを始めることになった話をご紹介します。
デザインレビューをする文化がなかったところからなぜ始めることになったのか、
上手く行っていること・行かなかったことなどお話しします。
これからデザインレビューをチーム内で始めようとしている方の参考になれば嬉しいです。
1. デザインレビューを始めるきっかけ
ラクスのデザイナーはそれぞれが担当するプロダクトを持ち、デザインを進めています。
その状況もあり、プロダクトをまたいだレビューの機会はあまりありませんでした。
ただ最近、課内で案件の進捗を共有する時間が設けられるようになり、そこで偶発的に「そのデザイン、こうしたらもっと良さそう」と意見を言い合ったり、議論が生まれるようになってきました。
また、採用が進んでメンバーが増えてきたこともあり自然と「レビュー」の必要性が高まっていきました。
とはいえ、お互いに「レビュー」に対する認識が揃っていなかったので、フィードバックがしづらかったり、受け取り方にズレが出てしまうこともありました。
そこで、私たちは課として「デザインレビュー」を正式に始めることにしました。
目的は大きく2つあり、1つ目は楽楽シリーズ全体のデザイン品質を高めること。2つ目はレビューを通してお互いに学び合い、スキルを高めていくことです。
2. どう始めたか
いきなりレビューではなく、まず輪読会から
「レビュー」に対する認識やお作法をそろえるために、まずは 『みんなで始めるデザイン批評』 という本を使って輪読会を始めました。
輪読会の目的は、本の内容を理解することよりも以下を重要視しています。
- みんなが何に関心を持っているか
- どんなところでつまずきやすいか
- 「レビュー」という言葉をどう解釈しているか
こうした違いを理解して、お互いの認識のズレを解消することを意識しました。
本という共通のオブジェクトがあることで、「Aという事例を見て自分はこう解釈した」と話せるので、議論がとてもスムーズになります。これがないと、同じ言葉を使っていても実は違うイメージで話している…なんてことが起きてしまいます。

実際に輪読会をしてみると、
- 「レビューって承認のことだと思っていた」
- 「人柄がわからない相手には意見しづらい」
- 「デザインレビューは手段にすぎなく、担当外のスプリントレビューに他デザイナーも入るで良いのでは?」
- 「ファシリテーションスキルが大事になる。どうしたら伸ばせる?」
など、想定していなかった課題や施策も見えてきました。これらは輪読会の時間の中で一つずつ解決を試みました。

※輪読会の効果や具体的な進め方は別の記事で紹介しようと思います。
レビュー用フォーマットの導入
輪読会を重ねる中で「仕組み化した方がいいよね」という流れになり、レビュー用のフォーマットを作ることにしました。
このフォーマットは、輪読会で出てきた「これだけは大事にしたい」という要素を集めて型化したものです。

また運用ルールも作成しました。
- 事前にNotionに書き込んでチャットで連絡
- 週2回レビュー用の時間を確保して、利用しても良い時間にする

私たちのレビューの特徴は、承認フローではなく「意見交換の場」として位置づけていることです。
最終的なオーナーシップはあくまでデザイナー本人にあり、レビューはより良くするためのヒントを持ち寄る場としています。
3. 上手くいったこと
実際にデザインレビューを始めるにあたり、いくつかのことが改善されました。
議論が建設的になった
今までは案件の共有の中でデザインレビューが偶発的に行われていたので、論点があっちこっちに行っていました。
それがレビューフォーマットを導入したことや、レビューへの概念が認識統一されたことで、コミュニケーションが建設的になりました。
結果として、レビューを依頼する人は欲しい情報を持って帰れるようになりました。
副次的にチームの課題を解決できた
前述した通り、デザインレビューをする前段の部分である相互理解、そもそものファシリテーションスキルをどう高めるかといった部分まで議論ができ、それに向けてアクションをすることができました。
特に相互理解の部分は、お互いの過去の経験や得意なこと・苦手なことなどを知る良い機会となり、チームで協業する土台を作ることができました。
※『実際にあなたのチームは機能していますか』という本では、信頼の欠如がチームの機能不全となる要因と書かれており、お互いの歴史や強みを知ることは効果的とされています。
4. 課題とこれから
もちろん、課題もまだあります。
一番大きいのは、レビューが任意であるため、参加や活用にばらつきがあることです。
困ったときに声をかけやすくなったという良い変化はあるものの、「楽楽シリーズ全体のデザイン品質をどう高めるか」という視点で見ると、デザイナー個人の意思に依存してしまっているのが現状です。
ただし、レビューは「チェックの門番」ではなく、あくまで品質を高めるための一つの手段だと私たちは考えています。
強制力を持たせるとスピードも落ちてしまい、本来の目的からずれてしまう恐れがあります。
だからこそ、課としてデザイン品質をどう担保していくのか方針を決めて、デザインレビューの位置付けを決めていく必要があります。
最終的には、レビューという時間の意識もなくなり、気軽に相互に聞いて改善する意識が根付いていくとより良いなと感じています。
5. まとめ
まだ始めたばかりで試行錯誤の連続です。完璧なレビュー文化は一朝一夕には作れませんが、小さく試して改善していくことを目指しています。
課題もたくさんありますが、それも含めてチームで取り組んでいることが、私たちのチームらしさだと思っています。
こういう文化を大切にしているチームで一緒に働きたい人はぜひお声がけください!


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