社内アンケートから見るエブリーの生成AI活用の現状と今後の取り組み – every Tech Blog

はじめに

こんにちは。株式会社エブリーの開発1部で部長を務めている村上です。

弊社は2023年のGithub CopilotとChatGPT plusの利用サポートから始まり、直近では4月ごろからCursorを導入し、生成AI活用に力を入れています。今回は、直近の生成AI活用推進で取り組んだ内容や、社内で実施した生成AI活用状況アンケートの結果、そして今後の取り組みについてお話しします。

直近の取り組み

ツールの導入だけではなく、組織全体でAIを使いこなしていくために、直近では以下のような取り組みを行っています。

  • 生成AI活用の知見を共有するslackチャンネルの開設
  • AI活用勉強会の開催
  • AIテーマに絞った挑戦WEEKの開催
  • Figma Devシートを配布し、MCPを活用したデザインからコード生成の検証
  • 仕様書をGithub管理に移行した開発フローの検証

これらの取り組みに関して簡単に説明します。

生成AI活用の知見を共有するslackチャンネルの開設

Cursorの配布と合わせて、各自が利用しているAIツールの知見を組織で蓄積していくため、気軽にシェアできるslackチャンネルを開設しました。実際に個人のプロンプトやルール、AIツールの最新情報が共有され、メンバーの活用レベル向上にもつながっています。

現在この取り組みは全社に広がり、特定のスタンプを押すと社内のAI活用共有用チャンネルに投稿される仕組みで、会社全体のAI活用知見を蓄積しています。

AI活用勉強会の開催

社内でAI活用を積極的に取り組んでいるメンバーが数人集まり、AIツールを活用した開発効率化勉強会を主催してくれています。隔週で開催され、持ち回りで発表やハンズオンを行っています。
これまでの発表では各AIツールの使いこなし方やMCPの作り方についての内容が多いです。

勉強会の様子

AIテーマに絞った挑戦WEEKの開催

挑戦WEEKは、通常の事業部ロードマップから離れ、エンジニアが自ら提案したテーマに基づいて技術的な挑戦に集中する社内の取り組みです。普段は自由なテーマで開催していますが、今回はあえてテーマをAI活用に絞って取り組むアイデアを募集し実施しました。自作Redash MCPサーバーの作成やSentryのエラー通知をDevinで調査し実行計画を立てる仕組みを作るなど、今後のさらなるAI活用につながる成果が出ました。

詳しくはテックブログにも書いているのでぜひご覧ください。

Figma Devシートを配布し、MCPを活用したデザインからコード生成の検証

まだベータではありますが、今年の6月にFigma公式のMCPが発表されました。

このMCPはFigmaのDevシートでないとアクセスできないため、シートの配布を行いながら、デザインからアプリ画面のコード生成までを検証しました。デザイナーとエンジニアが協力しながら効果的な活用方法を工夫してくれたことで生産性も向上し、現在は正式導入して現場で使用しています。

仕様書をGithub管理に移行した開発フローの検証

弊社ではこれまで仕様書にConfluenceを活用してきましたが、改めてAI時代における仕様書管理の在り方を見直し、PdMの生産性向上やAIによる精度の高い実装を実現する方法を検討するようになりました。
もちろんConfluenceでもMCPを使用してコンテキストを読み込むことは可能でしたが、一部のチームでは以下のようなメリットがあるのではないかという仮説のもと、開発手法を変更して検証を行っています。

  • PdMがCursorを使ってマークダウンでの仕様書作成、編集をスムーズに行える
  • ドキュメントのリポジトリを併用することでAIへ仕様を簡単に伝えることができ、設計やコード生成の精度が向上する
  • ドキュメントの更新、レビューにAIツール(Devin, CodeRabbit等)を活用できる

この検証はまだ途中段階で正式導入の判断には至っていませんが、振り返りのタイミングで結果を発信していきたいと思っています。

現在の生成AIの活用状況

こうした取り組みを進める中で、現在のエンジニア組織における生成AI活用状況はどうなっているでしょうか。直近で実施した生成AI活用アンケートの結果を共有します。

業務で最も利用しているAIコーディングツール

アンケート結果

ツール名 割合 人数
Cursor 55.6% 15
Claude Code 40.7% 11
Android Studio Gemini 3.7% 1

選択肢には『AIツールを使っていない』という回答もできるようにしていましたが、全エンジニアがAIコーディングツールを利用している結果となりました。
利用しているAIコーディングツールでは、会社がサポートしているCursorが最も多く利用されているものの、Claude Codeの利用も活発になってきています。CursorとClaude Codeそれぞれの選択理由は以下の通りです。

Cursor

  • 会社でサポートをもらえており、要件を満たしている
  • 業務の中でシームレスに利用できるため
  • 秘伝のタレが完成していてむしろ他のツールに移行するコストが高い
  • コード補完が楽
  • 複数のエンジニアが共通して使えるツールを、まず使えるものにしないと、結局全体の生産性は上がらない

Claude Code

  • 必要な情報を読み込んでくれて、コンテキストが埋まると圧縮してうまく情報を扱ってくれる
  • タスク管理とかを自分でToDoを立ててうまく進めてくれる
  • hooksやcustom commandが優秀
  • Opusが賢いので使いたい
  • Terminal上で完結できるのが良い
  • cursorより粘ってくれる
  • 一番安定した成果出る印象がある
  • 好きなIDEで利用できる

AIコーディングツールの利用頻度

アンケート結果

頻度 割合 人数
ほぼ毎日、常に利用している 77.8% 21
週に2〜3回程度 18.5% 5
週に1回程度 3.7% 1

約8割のエンジニアが毎日利用している状況でした。現在、エンジニアにとってAIコーディングツールが必要不可欠な存在になっていることが分かります。

AIコーディングツールの利用目的

複数選択の形式でどんな目的で利用しているかを回答してもらいました。

目的 割合 人数
コードの新規作成・スニペット生成 96.3% 26
既存コードの修正・リファクタリング 77.8% 21
コードのデバッグ・エラー原因の特定 74.1% 20
ドキュメントやコメントの自動生成 59.3% 16
仕様からのコード実装 48.1% 13
技術的な調査や学習の補助 59.3% 16
テストコードの作成 48.1% 13

多少の差はありますが、全体としてエンジニアのほとんどの業務シーンでAIを使っていることが分かります。

開発全体の生産性はどの程度変化したか

生産性 割合 人数
生産性2倍以上向上した 48.1% 13
生産性1.5倍程度向上した 33.3% 9
生産性1.2~1.3倍程度向上した 14.8% 4
変わらない 3.7% 1

約半数のエンジニアが『生産性が2倍以上向上した』と回答しており、大きな効果が見られています。全体を見ても2倍以上には至らないものの、ほとんどのエンジニアが生成AIによって生産性が向上したと回答しました。これは定性面だけでなく、以前にCTOの今井が執筆したブログでもPR数が2倍になったことが報告されており、生産性測定の完全な指標ではないものの、定量面でも裏付けとなる結果が出ています。

試してみたいAIツールや会社に求めるAIサポート

利用状況アンケートの他に、今後のAI活用を考える上で試してみたいツールや会社に求めるサポートについても、任意の自由記述アンケートを実施しました。

試してみたいAIツールでは以下のようなツールが上がってきました。特にAIレビュー系のツールを使ってみたいという声が多かったです。

  • CodeRabbitなどのAIレビュー系ツール
  • Autify、MagicPodなどのQAツール
  • (リリースされたら)Xcodeのコーディングインテリジェンス機能

また、会社に求めるサポートとして圧倒的に多かったのが、利用ツール選定において個人に一定の自由度を設け、様々なツールをサポートしてほしいという声でした。この背景には、弊社がCursorサポートに限定してスタートしたことがあり、エンジニア組織としてもサポートの在り方や予算の組み方を見直す必要性を感じました。

結果を踏まえた現在の取り組み

現在はアンケート結果や現場での課題感を踏まえ、以下のような取り組みを始めています。

AIレビューツールの検証

アンケートで多くの人がAIレビュー系ツールに高い関心を示していることが分かりました。また、今後AIによるアウトプット量が増加する中で、人間のレビュー負荷軽減は非常に重要なテーマとなるため、エンジニア組織としてもこの分野への投資を加速すべく検証を始めています。

すでにCodeRabbitの検証は完了しており、Github CopilotやCursor Bugbotのレビューと比較しても精度が高く、全チームから導入希望の声をもらっています。AIレビュー特化ツールならではの強みを実感しており、今後は競合ツールであるGreptileの検証も行い、比較検討を進める予定です。

より柔軟なAIツールのサポート

会社へのサポート要望でもありましたが、今後AIツール間の競争が激化し、より優れた新しいツールが登場する中で、特定ツールに限定したサポートは良い戦略ではないのではないかという課題意識がありました。また、現状のCursor利用実態を見ると、AIを積極活用するエンジニアはすぐに高速リクエストの上限に達してしまうため、従量課金でのサポート追加の必要性も感じていました。

そこでサポート費用を拡大し、個人が利用するAIツールを選択できるようにしつつ、割り当て範囲内での従量課金も必要に応じてサポートしていく方針です。組織として利用するDevinやCodeRabbitといったツールは別途導入する前提で、個人向けには以下のツールをサポートしていきます。

ツールはこれらに限定せず、新しく有用なツールが登場すれば随時導入検討や追加を行い、常にその時点で最も理想的な選択肢を提供できる状態を目指していきます。

終わりに

今回は、生成AI活用における会社での取り組みと現在の活用状況についてお話ししました。
今後も私たちは「開発生産性10倍」を目標に掲げ、エンジニアがより本質的な価値創造に集中できるよう、AI活用も積極的に推進していきます。AIの発展により2-3ヶ月先には実現可能なことや利用ツールも変わっている可能性がありますが、今回紹介したように技術の変化や社内の活用状況を把握しながら、柔軟に適応し続ける組織でありたいと思います。


生成AIでプロダクト開発をアップデートしたい方、 生成AIを活用したプロダクトを作りたい方、 ぜひ弊社で一緒に働きましょう!




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