MicrosoftのExtended Service Terms(EST)導入で何が変わる? – Alternative Architecture DOJO


こんにちは、木本です。
Microsoft 365 Copilotシリーズが比較的好評だったのでシリーズ続編をいくつか書こうとしたものの、書いてる間に仕様が変わってしまったりして、お蔵入り寸前になっているものがいくつかあります。

・・・・・・・。

すいません、「いくつか」っていうのはちょっと見栄を張りました。本当はふたつです。

今回はCopilotの話題から少し離れて、10月14日にMicrosoftからアナウンスされた「Extended Service Terms(EST)」についてお知らせします。
(この記事は2025年10月31日現在の情報を元に書いています。)



Extended Service Terms(EST)とは?

2026年4月1日から、Microsoftのサブスクリプション型サービスに「Extended Service Terms(EST)」という新しい仕組みが導入されます。
これまではサブスクリプションが期限切れになった場合に一定期間の無料猶予期間がありましたが、今後はこの猶予期間が廃止され、有料の延長サービス期間(EST)へ自動的に移行するケースが出てきます。

ESTの対象になるサービスは?
  • ライセンスベースのサブスクリプション型サービスが対象です
    • 例:Microsoft 365、Office 365、Dynamics 365、Power Platform など
  • CSP(Cloud Solution Provider)MCA-EBuy-Online など、全チャネル・全マーケットで適用されます
  • 月次・年次・3年契約など、契約期間に関係なく対象となります
ESTの対象にならないサービスは?
  • ソフトウェアサブスクリプション
  • 永続ライセンス
  • Azure Reservations
  • サードパーティ製品
  • Azure Savings Plans
  • その他、一部の特殊なSKUや試用版
ESTの対象になる条件は?

サブスクリプションが以下の3つの条件をすべて満たす場合、契約期間の終了と同時に自動的にESTへ移行します。

  • 2025年4月1日以降に購入または更新された
  • 2026年4月1日以降に終了(期限切れ)となる
  • 契約が自動更新になっていない

基本的には自動更新になっているケースが多いと思います。その場合は「契約期間の終了」を迎えることはありませんので、ESTの対象とはなりません。

ESTの価格は?

気になるESTの価格ですが、対象サービスの月額料金+3%となっています。
この「月額料金」は月次契約した場合の価格とされており、年間契約にしている場合、あるいは月額プランがないサービスの場合は月額料金+23%になるようです。
※正式な価格については2026年2月にプレビュー公開される予定になっています。

ESTの請求頻度は?

ESTは1か月単位で請求が発生します。年間契約している場合も、ESTに移行した場合は1か月単位となります。
ESTはいつでもキャンセルすることができ、その場合は利用日数分のみ日割りで課金されます。
無期限で継続することもできますが、キャンセル後は再度ESTに戻すことはできません


EST導入によって何が変わる?

ESTが導入されることによって、以下のような影響が発生します。

無料猶予期間の廃止

従来はサブスクリプションが期限切れになっても30~90日間の無料猶予期間があり、その間に更新するか、あるいは本当にサービスの利用をやめるかの判断ができました。
→ EST導入後は、この無料猶予期間がなくなります。

選択肢の明確化

サブスクリプション終了時にどうするかを、以下の3つの選択肢から選択することになります。

  • サブスクリプションを更新し、サービスの利用を続ける
  • サブスクリプションをキャンセルする(契約終了と同時にサービスが利用できなくなります)
  • ESTに移行する

→ 何も選択しない場合は自動的にESTへ移行しますので、契約終了時にESTに移行するかどうかを事前に購入元にお伝えください。

EST期間中の制約

EST期間中はシート(ライセンス)数やサービスレベルの変更ができません。


どうしたらいいの?

まず、現在ご利用になっているサブスクリプション契約が自動更新になっているかをご確認ください。
現在の契約が自動更新になっているかどうかわからない場合は、購入元にお問い合わせください。

契約が自動更新になっている場合

現在ご利用になっているサブスクリプション契約が自動更新になっている場合は、ESTの影響を受けませんので、そのままご利用いただけます。

契約が自動更新になっていない場合

もし、現在の契約が自動更新になっていない場合、契約の終了日をご確認ください。
契約終了が2026年4月より前であれば、これまで通り契約終了後に猶予期間が発生します。

契約終了が2026年4月以降の場合は、ESTの対象となり、猶予期間が利用できません。
もし、購入商流の変更や運用テナントの移行の一環として自動更新をオフにしている場合は、スケジュールやコストに影響する可能性がありますのでご注意ください。

自動更新にはなっていないが契約は更新する予定という場合は、これを機に自動更新に変更することもご検討ください。(自動更新への変更は購入元にご依頼ください。)


注意すべきこと

EST導入によって、これまで当たり前だった「無料猶予期間」がなくなり、サブスクリプション管理の運用が大きく変わります。
これまでは「うっかり更新を忘れても猶予期間があるから大丈夫」だったものが、今後は「即停止 or 有料延長(EST)」となるため、契約の自動更新設定や終了日、ESTへの移行条件をしっかり把握して、計画的に対応することが求められます。

また、これまではサブスクリプションの購入商流を変更したり、テナントを移行したりする際に、データの移行期間やサブスクリプション切り替えのバッファー期間としてこの猶予期間を前提とした計画を立てることが多かったと思います。
今後はこの猶予期間がなくなりますので、より綿密に計画しておくことが必要となります。
ただし、ESTは無期限で継続でき、いつでも終了することができるので、もしデータ移行等の作業が遅延した場合でも柔軟にスケジュールを調整できるメリットがあると考えることもできそうです。


ESTはアナウンスされたばかりなので、細かいところが変更されたり、追加のアナウンスが行われたりすることが考えられます。
今後も大きな動きがあれば、このブログでお知らせしたいと思います。

「現在の契約がESTの対象かわからない」、「商流の変更やテナントの移行を予定しているが、どのような影響があるのか知りたい」など、ESTに関して不明点や不安がある場合は、購入元のパートナーや代理店にお問い合わせいただくか、当社までご相談ください。


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