React Conf 2025 in Las Vegas:技術、英語、そしてコミュニティの熱量に触れた2日間

はじめに

こんにちは。スタメンでWatchyというIT資産管理・操作ログ管理ツールのプロダクトエンジニアをしているyun8booです。
スタメンでは、業務以外の場でもエンジニアの成長機会づくりを重視しており、カンファレンス参加の補助制度があります。今回はその制度を活用し、2025年10月7日–8日に開催された React Conf 2025 in Las Vegas の現地参加の機会をいただきました。
この記事では、参加の経緯からダイジェスト、印象的だったセッション、現地で得た気づきを順にまとめています。

参加の経緯

代表の大西から急遽参加の機会をいただき、即座に承諾しました。オンラインでも視聴できる時代ですが、会場の雰囲気を肌で感じ、グローバルなコミュニケーションを直接体験したいと考えていました。
初めての海外カンファレンス、しかも一人での参加ということもあり、出発前は期待と不安が入り混じっていました。

ダイジェスト

公式から「React Conf 2025 Recap」も公開されています。カンファレンス全体の熱気や雰囲気がよく伝わる内容ですので、こちらもぜひご覧になることをお勧めします。
react.dev

React Conf 2025

Day 1

  • React Keynote:
    • Lauren Tan氏らが登壇し、Reactエコシステムの現状と未来について語りました。React Compiler 1.0の正式リリースやReact Foundationの設立など、カンファレンスの目玉となる重要な発表が行われました。
  • View Transitions and Activity:
    • 新しいコンポーネントであるについて深掘りされました。これらがいかにして、よりスムーズなUIアニメーションと状態管理を実現するかが解説されました。
  • Profiling with React Performance tracks:
    • DevToolsに新しく搭載された「React Performance tracks」を使い、アプリケーションのパフォーマンスを詳細に分析・改善する方法が紹介されました。
  • Async React:
    • 非同期処理はReactの重要なテーマです。このセッションでは、データ取得や状態更新における非同期のベストプラクティスと、今後の展望が語られました。
  • React and AI:
    • ReactがAI(人工知能)とどのように連携していくか、AIが開発プロセスをどう変えるかについて、Christopher Chedeau氏らが議論しました。
  • Exploring React Performance:
    • Reactのコア開発者であるJoe Savona氏が、アプリケーションのパフォーマンスを最大限に引き出すための実践的なテクニックや考え方を解説しました。
  • Lightning Talks & Q&A:
    • Reactを使ったモダンなEメール開発など、多岐にわたる短いセッションが行われました。最後にはReactチームが直接コミュニティからの質問に答えるQ&Aセッションで締めくくられました。

Day 2

  • React Native Keynote:
    • Hermes V1の発表や新アーキテクチャへの完全移行など、React Nativeのパフォーマンスを飛躍的に向上させる発表が行われ、コミュニティを沸かせました。
  • React Native, Amplified:
    • Amazonが開発した新しいOSであるVega OSへのReact Nativeの統合と、それによって可能になった新しいクロスプラットフォーム開発体験に焦点を当てたものでした。
  • React Strict DOM:
    • Webとネイティブアプリ間でのコード共有をより安全かつ容易にするための新しいアプローチ「React Strict DOM」について、Nicolas Gallagher氏が解説しました。
  • Reimagining Lists in React Native:
    • React Nativeにおけるリストのパフォーマンス課題、特にブランキング現象の解消と、新しいアーキテクチャを活用したリストのための新しい基本要素の導入に焦点を当てたものでした。
  • React Everywhere: Bringing React Into Native Apps:
    • 既存のネイティブアプリに、Reactを段階的に導入していく「ブラウンフィールド」開発の実践的な手法が共有されました。
  • フレームワーク & ツール セッション:
    • Parcel, Vercel, Expo, React Router, RedwoodSDK, TanStack Startといった主要なフレームワークやツールの開発者が登壇しました。
  • What’s The Framework of the React Future?:
    • Reactの未来を担うフレームワークはどうあるべきか、業界のエキスパートたちが活発な議論を交わし、2日間のカンファレンスを締めくくりました。

なお、カンファレンス全体の詳細については、りんたろーさんのブログ記事に大変分かりやすくまとめられています。より深く理解したい方は、こちらも合わせてお読みいただくことをお勧めします。
blog.re-taro.dev

特に印象的だったセッション

  • React Keynote:
    • React Compiler v1 の発表:
      • v1の発表で会場が大いに盛り上がりました。これは単なる自動最適化ツールではなく、より良いコードを書くための支援ツールでもあるとのことです。
      • パフォーマンスを向上させるためにはuseMemouseCallbackが有効ですが、どこに使うべきかの判断は簡単ではありませんでした。結果として、適切な箇所で使えていなかったり、逆に不要な場所でコードを複雑にしてしまったりすることもあったと思います。今回のv1の発表によって、プロダクションへの導入がより一層しやすくなったと感じています。
    • View Transitions:
      • View Transitions APIの簡素化により、Webアプリケーションでもシームレスな画面遷移を簡単に実装できるようになったと解説されました。他のセッションでのライブコーディングも会場を盛り上げていました。
  • Async React:
    • このセッションでは、ui = f(state) というReactの従来のメンタルモデルは、現代のアプリケーションには適していないと語られました。すべてのユーザー操作を同期的に処理するのは不可能で、体験を損なう可能性があるためです。
    • 代わりに await ui = await f(await state) という新しいメンタルモデルが提案されました。これは、ユーザーイベント、状態更新、UI更新のすべてが非同期であることを明示しています。
    • このセッションでもライブコーディングが行われました。ハプニングがあり時間内に話しきることができませんでしたが、会場は大いに盛り上がっていました。(2日目の最後に時間をもらい、残っていた箇所の説明が行われました)
  • React Native Keynote:
    • Hermes v1 (Static Hermes): JavaScriptコードを事前にネイティブコードへコンパイルすることで、アプリのパフォーマンスが劇的に向上し、アプリサイズも小さくなるとのことでした。
    • DevToolsの進化: React Native DevToolsに待望のパフォーマンスパネルとネットワークパネルが追加されることが発表されました。これにより、Web開発者にはおなじみの強力なデバッグ体験が、ネイティブ開発にももたらされます。
    • 私が学生だった8年ほど前、React Nativeでアプリ開発を経験したのですが、当時はデバッグにとても苦労した記憶があります。それ以来、しばらくReact Nativeから離れており最新の情報を追えていませんでした。しかし、今回のKeynoteで発表された進化を目の当たりにして、ぜひもう一度触ってみたいと強く感じました。

現地で得た気づき

コミュニケーションの壁と突破口

セッションの合間や食事の時間での会話はリアルタイム翻訳が難しく、最終的にスマートフォンの画面を見せ合いながらの会話となり、少しテンポが悪くなってしまいました。特に会場が盛り上がっている場面や複数人での会話では、リアルタイム翻訳の精度と速度が追いつかないのが現実でした。
そのため、技術的に深い話までは踏み込めませんでしたが、「日本から来た」こと自体が話題になり、会話のきっかけとして機能しました。SNSで数名とつながり、後日フォローアップできる土台を確保できたのは大きな収穫でした。(そして、日本のアニメは偉大でした!)

交流会

現地参加ならではの体験

ライブコーディングや目玉発表が成功した瞬間に会場が一体となって沸き立つ体験は、オンラインでは得難いものであり、学びへのモチベーションを一段と引き上げてくれました。どの話題で会場が沸くか、どこが強調されているのかを肌で感じられるのは大きなメリットです。また、スポンサーブースには普段使っているライブラリの開発者たちがおり、ユースケースなどを直接聞ける貴重な機会でした。

海外カンファレンス参加へのハードルが下がった

出国前は英語に自信がなく不安でしたが、実際に行ってみると「意外となんとかなる」と感じました。この経験を通じて自信がつき、海外カンファレンスへの心理的なハードルが大きく下がりました。
セッションのスライドは分かりやすくシンプルな英語で書かれており、登壇者もプレゼンテーションに慣れている方が多いため、スライドに沿って進むセッションは内容を理解しやすかったです。

終わりに

今回の一番の収穫は、「モチベーションの向上」でした。会場の一体感と熱量に触れ、日々の学びに向き合う姿勢がぐっと前向きになりました。英語は完璧でなくても会話は成立することを実感した一方で、「次はもう一段レベルを上げた状態で臨みたい」という気持ちが強くなり、英語での発信や対話への意欲が大きく高まりました。
最後に、今回の参加は社内のカンファレンス参加補助制度があってこそ実現できたものです。この貴重な機会に感謝しつつ、高まったモチベーションを今後の実装という形でチームに還元していきます。

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