
こんにちは。技術戦略部 CTOブロックのikkouです。ZOZOでは毎年、独自の新卒研修を実施していますが、今年は日本CTO協会の新卒エンジニア合同研修にも参加することにしました。参加は任意として、興味を持つ研修を自身で選択できるようにしました。遠方に住んでいるメンバーも参加できるように調整の上、ZOZOからは通算11名の新卒エンジニアが参加しました。本記事では参加者によるレポートをお伝えします。
日本CTO協会 新卒エンジニア合同研修とは
本合同研修は、日本CTO協会の会員企業の新卒エンジニアを対象とした取り組みで、初回の2024年度に続き今回が2年目です。ZOZOは初年度に参加していなかったので、今回が初参加となります。
研修は全6回で構成され、すべてオフラインで実施されました。
| 研修内容 | 講師 |
|---|---|
| 第1回:Google Cloud のスペシャリストと学ぶ! BigQuery & Gemini | グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 |
| 第2回:CTOから新卒に向けた講話 / 生成AI時代のソフトウェアエンジニアとしての働き方の期待値 | 日本CTO協会 / 株式会社LayerX、株式会社Progate |
| 第3回:AWS 初学者向け合同研修 / AWS JumpStart | アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 |
| 第4回:サーバー解体研修 | GMOペパボ株式会社 |
| 第5回:日本CTO協会ISUCON新卒研修*1 + 解説 | 株式会社PR TIMES |
| 第6回:生成AIに関する講義 | 日本マイクロソフト株式会社 |
各回の内容について3名からのレポートをお届けします!
第1回:Google Cloud のスペシャリストと学ぶ! BigQuery & Gemini(講師:グーグル・クラウド・ジャパン合同会社)
第1回は坂元が担当いたします! 今回は、渋谷ストリームにある Google さんのオフィスにお邪魔して、研修に参加してきました。

この研修回では大きく分けて講義・グループワーク・懇親会の3つに分けて、各パートをご紹介いたします!
Google Cloud プロダクトの魅力に触れる
研修の前半では、Google Cloud が提供するさまざまなプロダクトの講義がありました。中でも特に印象的だったのが「BigQuery」と「NotebookLM」に関するセッションです。
普段、弊社でも BigQuery を使ってデータ分析や開発を行っていますが、正直なところこれまでは「高速で使いやすい分析基盤」という、少しふんわりとしたイメージしか持っていませんでした。しかし、今回の研修を通じて、BigQuery の内部構造の仕組み(Borg による実行、Colossus でのストレージ管理、Jupiter によるネットワーク制御など)を学び、弊社含め多くの企業が採用している理由がはっきりと見えてきました。
さらに印象的だったのが、他の Google サービスとの高い親和性です。例えば、Gemini in BigQuery を使うことで、自然言語で質問するだけで自動的に SQL クエリを生成してくれる機能があります。そこから Google Chat とつなげることで、BigQuery を直接開かなくてもデータにアクセスできる仕組みが実現できるという話もあり、そんな未来的な活用例に、純粋にワクワクしました!
そして、個人的に一番「すぐに使えそう!」と感じたのが「NotebookLM」のセッションです。NotebookLM は、資料や会議内容などをアップロードしておくと、そこから要約やアイデア出しまでしてくれます。このサービスは、日々大量の情報をキャッチアップする新卒の立場にとって本当にありがたい存在です。しかも、アップロードする資料に基づいて推論してくれるため、自身の業務ドメインに特化したような回答を得ることができるのです。
ここで重要なのが、プロンプトの工夫です。今回の講義では、実務でもすぐに使えるプロンプト改善のポイントを5つ教わりました。
- 詳細かつ明確な指示を出す – 具体的な情報を提供し、期待する回答の方向性を明確に
- 役割を与える – 例「あなたは優秀なデータサイエンティストです」
- “Don’t”よりも“Do”を使う -「しないで」ではなく「する」と指示する
- 回答できない場合の代替案を提示する – 例「わからない場合は、関連する情報を提供してください」
- 繰り返し試行してフィードバックを与える – 一度で正解を求めず、やり取りを重ねる意識を持つ
このポイントを意識してプロンプトを作ってみたところ、 より想定していた回答に近いアウトプットが返ってきて、次の日の業務からさっそく活かすことができました。
普段、社内のツールをなんとなく使ってしまうこともありましたが、今回の研修を通して「なぜこのツールを使うのか」「どう活用すればもっと便利になるのか」という、日々の業務ではなかなか得られない知識を深めることができました。その結果、業務の理解や活用スキルの底上げにもつながり、実際の仕事にもすぐに役立てることができました。
生成 AI をテーマとしたグループワーク
研修の後半では、10人弱のグループに分かれて「新卒研修期間、またその後に直面するであろう業務の課題に対し、生成 AI をどのように役立てられるか」というテーマでグループディスカッションが行われました。私のチームでは、新卒ならではの悩み(例:ドキュメントが未整備、情報が属人化している、AI 利用ポリシーが曖昧)に対して、以下のようなアイデアが出ました。
- NotebookLM に関連情報をアップロードし、キャッチアップを効率化
- ドキュメントだけでなく、会議音声やメモもアップロード
- MCP 経由での情報提供
- 退職者に聞くような感覚で情報を引き出すことで、属人化の解消にもなる
- AI 利用ポリシーを監視するようなエージェントの設置
同じ新卒という立場からこそ、業務の中での小さな悩みや課題を共有し合うことができた時間でした。最後には他チームの発表もあり、「確かにそんな課題もあるな」「こんなふうに AI を活用する視点があるのか」といった新たな気づきがあり、すごく参加者の皆が近くに感じられて楽しかったです。また、「新卒だからこそ、生成 AI と一緒にできることがある」という前向きな議論が多く、頼もしい仲間の存在を感じることができました。
懇親会での交流
研修の締めくくりには、懇親会が行われました。本研修では、毎回最後に懇親会が設けられており、普段なかなか話す機会のない他の新卒メンバーや、開催企業の社員の方々と交流できます。今回は、Google Cloud の社員の方々とお話しする機会があり、普段の業務や Google Cloud のプロダクトの活用方法について、ざっくばらんにお話しできました。特に、懇親会で開催されたクイズ大会では、Google Cloud に関する知識を深めるとともに、他の新卒メンバーとの親睦も深めることができました。ありがたいことに、クイズ大会では入賞でき、「Google Cloud ではじめる実践データエンジニアリング入門」という書籍をいただくことができました!

まとめ
今回の研修を通じて、Google Cloud のプロダクトの魅力や生成 AI の活用方法について深く学ぶことができました。明日から生かせるような実践的なお話も多く、研修後すぐに業務に活かし、さらに学びを深められるきっかけになりました!
第2回:CTOから新卒に向けた講話(講師:日本CTO協会 / 株式会社LayerX) / 生成AI時代のソフトウェアエンジニアとしての働き方の期待値(株式会社Progate)
第2回は三山が担当いたします! 今回はProgate CTOの島津真人さんによる「AI時代の新卒エンジニアに必要な変化と学習」と、LayerX代表取締役CTOの松本勇気さんによる「キャリアの考え方、フォロワーシップ」についての貴重なお話を伺うことができました。CTOの方々から直接お話が聞ける機会は滅多にないことなので、とても楽しみでした。
前半は島津さんによる「AI時代の新卒エンジニアに必要な変化と学習」についての講義をしていただきました。特に印象に残ったのは、AI時代におけるエンジニアの実践として、以下の2点でした。
- キャッチアップとアウトプットを循環させること
- 解像度を高め、仕事を明文化すること
AI時代に必要なキャッチアップとアウトプット
AIは日進月歩で進化しており、私たちも継続的にアップデートを重ねる必要があります。ここで重要になるのがキャッチアップとアウトプットです。現在はAIが台頭し始めたばかりで、AIの活用法に明確な答えは見つかっていません。AIに仕事が代替される可能性を懸念する声も少なくありませんが、島津さんは「AIを使ってみないことには、活用されるイメージも、代替されるイメージも湧いてこない」とおっしゃっていました。確かに、AIの基本的な使い方は理解していても、それが自分の仕事に対して十分に活用できているかは疑問でした。そのため、まずはAIを積極的に使っていくことが重要だと感じました。
島津さんが強調されていたのは、キャッチアップとアウトプットの循環を作ることです。
- 自分で試行錯誤を重ねて局所最適を積み重ねる。
- 得られた知見をチームや組織、コミュニティに共有していく。
このサイクルを高速に回し、AIに関する知識を継続的にアップデートしていくことが大切だということでした。このサイクルを意識して業務でもどんどんAIを使い、活用法をチームに還元していきたいと思いました!
解像度を高め、目の前の仕事を明文化する
業務でAIを使っていると、回答の質がプロンプトの質に大きく依存していることを実感します。期待から外れた回答が返ってくる背景には、往々にして 「自分の理解が浅い」または「表現が曖昧」 という問題が潜んでいます。これに対して島津さんは、「自分の仕事を文章に起こせるほどに明確に理解すること」 が重要だとおっしゃっていました。
私自身も業務でChatGPTを使用する機会が多いのですが、複数の受け取り方ができるような曖昧な表現をした時は、確かに期待した回答が得られません。こうした場面では決まって、タスクに対する理解度が低く、全体像は捉えているものの具体的な部分の理解が浅い状態にありました。だからこそ
- 前提・制約・期待する結果を言語化する
- 用語を揃える
- 曖昧さを排除する
といった「解像度を上げるプロセス」そのものがAIを正しく使いこなす力につながると感じました。タスクをやり始めるとわからないことだらけですが、曖昧な部分を極力無くし詳細な説明がいつでもできるようなレベルまで解像度を高くすることを意識して業務に取り組んで行きます!
研修の後半では、LayerX CTOの松本さんによる「キャリアの考え方とフォロワーシップ」についての講義が行われました。 急速な技術革新や働き方の変化が続く中で、キャリアに不安を抱く新卒の方も多いはずです。私自身、3年後・5年後はおろか、1年後さえどうなっているのか想像がつきません。ここでは、後悔のないキャリアを築くための 3 つのポイントを整理して共有します。
投資家的にキャリアを考える
松本さんは、後悔しないキャリアを築くための鍵として 「投資家の視点を持つこと」 を挙げられました。投資家は自身の資産を元手にリスクを取り、将来のリターンを狙い資産を増やしていきます。キャリアの世界での “資産” は、信頼・信用、知識・経験、スキル(技術力/マネジメント力) など。これらを元手に、やりたい方向へ効率よく投資し、リターンを最大化する——それが「投資家的に考えるキャリア」です。
「信頼やスキルの量によって任される仕事の大きさが変わる」という実感は、多くの人がうなずけるはずです。一方で、新卒の私たちはまだこの資産を十分に持っていません。では、何を元手にすればよいのでしょうか。
最初の10年:時間と健康をレバレッジにする
私たちは資産が乏しいように見えて、実は 「時間」と「健康」 という、誰もが喉から手が出るほど欲しい資産を持っています。家庭を持つ前の20〜30代は、もっとも自由に時間を使え、もっとも動ける時期です。だからこそ、この10年をフル投資期間として、将来の資産(信頼・知識・スキル)へ大胆に投資していくことが重要です。
具体的には
- 小さなプロジェクトでも締切と品質を徹底し、信頼を積み上げる
- 登壇や記事執筆で学びを発信し、知識と信用を広げる
- 少し背伸びしたタスクを引き受け、成功すれば実績、失敗しても経験を資産化する
行動にはリスクが伴いますが、行動 → 学習 → 振り返り のサイクルを短く回すほど、同じ成果をより小さなリスクで得られるようになります。時間と健康というレバレッジを効かせ、投資を続けていきます。
環境が人をつくる
「人は周囲の5人の平均である」という言葉があります。私自身、所属するコミュニティの価値観や考え方に大きく影響を受け、それが今の自分を形作っていると感じます。松本さんは、意思の力に頼るより、環境を選ぶこと の重要性を強調していました。努力する仲間の姿を見れば自然と自分も頑張れますし、同僚の昇進に悔しさを覚えることも「健全な嫉妬」として行動エネルギーに変えられます。自らも行動し発信することで、周囲にポジティブな刺激を与える存在になることもできます。
最後に
今回は島津さんと松本さんのお二方からお話を聞く機会を設けて頂きましたが、お二方とも口を揃えて仰っていたことは行動と学習のサイクルを回すことの重要性です。当たり前なこのサイクルを高い質で回せるようになるためにもまずはたくさん行動して経験を積み重ねていきたいと思いました。このような貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました!
第3回:AWS 初学者向け合同研修 / AWS JumpStart (講師:アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)
第3回も三山が担当いたします! 今回はアマゾンウェブサービスジャパン合同会社による「AWS JumpStart」でした。
本研修はAWSの初心者から中級者を対象としたもので、オンラインで2日間かけて開催されました。研修内容としてはAWSサービスを利用してアプリを作成するために必要となる知識を講義とハンズオン形式で学び、その後チームに分かれて与えられた要件に沿うアーキテクチャを検討するグループワークを行いました。最後はチームごとにアーキテクチャをテーマとした発表会を行いました。
Day0 事前課題「Cloud Practitioner Essentials」でウォームアップ
今回の研修は初学者を対象としていますが、2日目にはチームでのアーキテクチャ検討会もありますし、知識不足で何もできないのではないか? と少し不安でした。しかし、公式が提供するAWS Cloud Practitioner Essentialsを事前に学べる機会が用意されていました。「サービス名は知ってるけど、どこでどんな目的で使われてるのかわからない」状態だった私も、しっかりと土台を築けました!
このAWS Cloud Practitioner Essentialsは、資格を取得のための講座ですが、具体例がとてもわかりやすくここでAWSへの理解がかなり深まったと思っています。誰でも受けられる講座なので、AWSをこれから学びたい! と思っている初心者の方はまずこの講座を受けることをお勧めします!
Day1 講義とハンズオン
初日は、事前学習で得た知識の振り返りとチームを組んでTODOアプリをクラウド上に構築するハンズオンを行いました。ハンズオンは2、3人でチームを組みモブプロ形式で進めていきました。
モブプロは、画面操作をするドライバーと口頭で指示を出すナビゲーターに分かれて行いました。オンラインでの作業であったため、ドライバー役の時は「インスタンスタイプをt2.microにします」と実況しました。ナビゲーター役の時も「右側上部のオレンジのボタン「インスタンスを起動」を押してください」というように具体的な指示を出すことで、スムーズに進めることができました。
ハンズオンでは、ALBを使ったマルチAZ方式で可用性を担保した構成をECS/Fargateで構築しました。そして、データベースもAurora MySQLのWriter/Reader構成で構築しました。これによりアプリ、DBの双方で冗長性が確保され、片方のAZで障害が発生してもサービスを継続できるようになります。

今回は実際に障害が起こった際、どのようにして自動で復旧するのかを確認するために、Writerを停止してその挙動を観察しました。Writerがダウンしてもフェイルオーバーが発生し、自動で復旧することが確認でき、冗長構成にする大切さを学びました! サービスを運用するにあたり、冗長性や可用性はとても大切な要素になります。それがどのように実現されているのかを手を動かしながら学ぶことで理解が深まりました!
Day2 アーキテクチャ検討会
2日目は1日目の振り返りを行ったあと、1チーム5、6人のグループに分かれアーキテクチャ検討会を行いました。グループワークでは、”全員退職した EC チームの代打“という設定で、半年後にローンチ予定のECサイトのAWS構成を今日中に提案するという、ドラマ仕立ての課題に取り組みました。
弊社もECサイトを運営しているため、このテーマをもらった時は全体像を想像しやすかったです。実際に取り組んでみると、さまざまな課題が与えられました。「アクセス数が増加する時間帯に応じてスケールさせる」「ユーザーの購買ログをためてAIに解析させる」「利用者が10倍に増えても同じ構成で捌ききれるのか」など、運用を考慮した課題ばかりでした。アーキテクチャ設計の難しさを感じました。
しかし、チームメイトと協力し意見を出し合いながら進められた点は面白く、自分では考えていなかった気づきを共有してくれてとても充実した1日を過ごせたと思っています。改善の余地はあるものの、チームとして納得できるアーキテクチャ構成図を作成できました!

最後に
始まる前はAWSの構成図を見ただけでは何がどうなっているのか全くわからない状態でした。しかし今では、アプリを運用するための基本的なサービスの役割を理解し、何を行っているかがわかるレベルまで来られたと感じています。今回はGUI操作でWebアプリの環境構築を体験しました。AWSにはCloudFormationやCDKといったIaC(Infrastructure as Code)と呼ばれるコードベースで環境構築する手法もあります。次はコードデプロイに挑戦してみたいと思います!
2日間かけてAWSのサービスについてゼロから学び、非常に充実した研修となりました。今後のAWS構成の考え方や、知識を広げていく方法も掴めた実感があります。今回の学びを業務や個人の成長に活かしていきたいと思いました!
第4回:サーバー解体研修(講師:GMOペパボ株式会社)
第4回も坂元が担当いたします! 今回は、GMOペパボさんのオフィスにお邪魔して、「サーバ解体研修」に参加してきました。普段はクラウドや仮想環境上で開発することが多い私にとって、物理サーバに直接触れて解体するということが初めてということで、人一倍ワクワクしながら向かいました。

解体の前に
実際に解体する前に、まずはサーバの構成に関する座学が行われました。どんな部品があり、それぞれの部品がどのような役割を果たしているのかを事前に学んでおくことで、サーバ解体体験の解像度が一気に高まります。
いよいよサーバ解体!
講義の後にいよいよ研修のメインイベントであるサーバ解体に進みます。1チーム十数人に分かれて大きなテーブルを囲み、用意された実機のサーバを順に分解していきます。



最初は「壊してしまわないか」と不安に思いながら慎重に触れていたのですが、徐々に慣れてくると、「ここって外れるのか?」という探究心が勝り、夢中になって作業していました。普段ソフトウェアを扱うことが多いからこそ、こうしてハードウェアに直接触れられる貴重さを改めて実感しました。解体を通じて、多くの気づきや驚きがありましたが、その中でも特に印象的だった3点を紹介します。
1. 物理サーバのほとんどの部品は工具なしで解体可能
一番初めに驚いたのは、物理サーバは工具なしで解体できるということです。てっきりネジをドライバーで外していくものだと思っていたので、最初に大きな衝撃を受けました。このような設計になっているのは、サーバを常時稼働させながらパーツを交換するためです。いわゆるホットスワップに対応しており、停止時間を最小限に抑えたメンテナンスが可能になります。また、サーバ内部のパーツにはオレンジ色と青色のハンドルがあり、色によって交換の可否が区別されていました。
- オレンジ:ホットスワップ対応(稼働中に交換可能)。
- 青:コールドスワップ対応(シャットダウンが必要)。
ホットスワップのパーツはサーバラックから下ろさずとも交換できるという話を伺い、メンテナンスを考慮した合理的な設計になっていることに感動しました。

2. メモリには刺す順番が重要
2点目は、メモリには“推奨の挿入順序”が存在するということです。順番が異なってもサーバは動作しますが、システム側での最適な構成が取れず、パフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。クラウドでは、抽象化されたリソースとして最適化が自動的に行われるため、普段はあまり意識することがありません。しかし今回の研修を通じて、物理サーバならではの視点や工夫を知り、それらがハードウェアレベルで実現されていることを体感しました。
3. 物理サーバにおける冗長化の仕組み
クラウドにも冗長構成がありますが、もちろん物理サーバにも冗長性を担保する構成が存在します。例えば、RAID構成によるディスクの冗長化や電源ユニットの二重化など、障害耐性を高める工夫が随所に見受けられました。先述したホットスワップの考え方ともつながり、物理インフラでも「止めないこと」がいかに重視されているか、そしてどのように実現されているかを学ぶことができました。また、物理サーバとクラウドを比較することで、オンプレ構成のことはもちろんクラウドの構成に関してもより理解が深まりました。
自チームの解体作業が終わった後は、他テーブルの様子も見学しました。解体しているサーバはテーブルごとに異なり、NVIDIA製のGPUが搭載された高性能なサーバを解体しているテーブルもありました! そのテーブルでは、GPUの仕組みや冷却構造に注目しながら、より技術的な会話が交わされていて、一段と白熱した議論が交わされていました。

そして最後に、解体したサーバを再び元に戻して終了となります。「どこに何があったっけ…?」と苦戦しながらも、チームで協力して慎重に戻していきました。
※写真は撮り忘れてしまいましたが、無事に元の状態に戻せました!
まとめ
今回のサーバ解体研修を通じて、単にパーツ構成を学ぶだけではなく、なぜこのような構造になっているのか、どんな工夫が詰め込まれているのかを学ぶことができました。また、オンプレの知識を得たことでクラウドへの理解もさらに深まりました。今まで、物理サーバはどこか遠く難しいものだと敬遠してしまっていた部分がありましたが、今回手で触れることによってより身近な存在に変わったと実感しています。今回の学びを今後の業務にも活かしていきたいと思います!
第5回:日本CTO協会ISUCON新卒研修*1 + 解説(株式会社PR TIMES)
第5回はもみじこと皇映が担当いたします! 今回は、東京都千駄ヶ谷のピクシブ本社にお邪魔しました! 研修のテーマは「ISUCON新卒研修」になります!
ISUCONとは、
ISUCONとは、「Iikanjini Speed Up Contest(いい感じにスピードアップコンテスト)」の略で、お題となるWebサービスを決められたレギュレーションの中で限界まで高速化を図るチューニングバトルです! ISUCONはLINEヤフー社が主催しており、毎年開催されています。ISUCONでは3人以下のチームで参加でき、優勝賞金はなんと100万円です! これはモチベが上がりますね! それだけでなく、ISUCONで学んだ知識は、実際の現場にも通じるものがたくさんあるため、実践的なスキルを習得するとても良い機会です!
研修の目的
今回の研修では2人または3人のチームで、ISUCONとほぼ同様なWebサービスをお題に、チーム対抗でスコアを競い合うISUCON研修を実施しました! また研修の目的としては、ISUCONを体験するだけでなく、チームでの活動を通して、実際の業務で「周りの力を活用し、問題解決する」力を養い、自分起点で質問をして協力を得る姿勢を習得することです!
実際にISUCONをやってみて
私は3人チームでWebチューニングを行いました! 競技時間は10:00〜18:00でしたが、あっという間に時間が過ぎ、正直時間があればもっとできたなと悔しかったです! Webのチューニングの基本はシンプルです、「計測して、いちばん時間を食っている部分から手を入れる」これにつきます! ここでは、今回のお題で私たちが取り組んだ具体的なステップと最適化手法について紹介します!
1. ログからボトルネックを見つける
nginxのアクセスログを見る
今回のフロントエンドにはnginxが入っているので、まずはaccess.logを解析しました。ログにリクエストのメソッドやURI、応答時間を出力することで、どのリクエストに時間を要しているのかを調査しました。解析ツール(alpなど)を使うことにより、重いリクエストをすぐに抽出できます。
プロセスごとのCPU負荷を確認する
htopやtopでCPU使用率を見ることで、時間がかかっているプロセスを見つけることができます。今回のお題ではMySQLでCPUを多く使用しており、DBにボトルネックがあることを発見できました。
スロークエリログを有効化
スロークエリログを有効化し、すべてのクエリをロギングすることにより、最も時間のかかるクエリを調べることができます。また、EXPLAINでインデックス利用状況をチェックすることにより、「インデックスが適切に使われているか」や「filesortが発生していないか」を確認できます。
2. チューニング
調査から得られた情報をもとに、具体的なチューニングを行なっていきます。今回のお題では以下のようなチューニングを行いスコアを向上させました。
インデックスの追加
今回のお題では、複合インデックスを追加することで、filesortがなくなり大幅に高速化できました。
LIMIT句の付与
アプリケーション側でLIMIT句により取得数の制限をかけることにより、ネットワーク転送やメモリ使用量を削減し、高速化に繋げることができました。
静的ファイルはnginxに任せる
画像やCSS、JavaScriptはアプリケーションサーバーを経由せず、nginxのtry_filesやexpiresディレクティブで直接返すことにより、アプリケーションのリソースを必要な処理に集中でき、高速化が図れました。
懇親会の交流
懇談会では、高得点をとったチームの人にスコアアップの秘訣を聞きました! 限られた時間の中でいかに「調査→改善」のサイクルを回すことができるかが重要であると感じました! 研修に参加した人の中には、早くも冬に行われるISUCON本番に向けて、準備を始める人もいました!(私も参加する予定です!)
まとめ
今回のISUCON新卒研修では、ISUCONというお題を通して、チームで課題解決に向かう力と共に、適切な技術を用いて課題を解決することの大切さを学びました。これは実際の業務にも強く生きる内容であると感じました。また、ISUCONという競技の楽しさ・技術の面白さを改めて強く感じる研修でした! 今回研修に参加された皆さん、研修を支えてくださった皆様、本当に貴重な体験と良い学びをありがとうございました!
第6回:生成AIに関する講義(講師: 日本マイクロソフト株式会社)
第6回ももみじこと皇映が担当いたします! 今回は、品川の日本マイクロソフト株式会社にお邪魔しました! 研修のテーマは「生成AIに関する講義」になります! 講義は柳原(@yanashin18618)さんに行なっていただきました!
AIネイティブ時代
今年で創立50周年を迎えるMicrosoftでは、2025年を「AIエージェント元年」と位置づけているほど、今年は新たな時代を迎える1年です。Microsoftが目指すAIの世界は、自然言語を使い、私たちがPCやサービスを直感的に操作する未来を描いています。
Microsoftが推進するAIのキーワードは、この2つです。
- Copilot(コパイロット)– ユーザーの相棒のように作業をサポートするAI
- Agent(エージェント)– 人間が委任したタスクを自律的に完遂するAI
どちらの言葉も近年私たちの日常でも聞くようになりましたね! GitHub Copilotは既に世界で1,500万人以上が利用し、Microsoft Copilotは2,000万〜3,000万人のアクティブユーザーを抱えているそうです! 人間とAIが伴走したり、AIに自律的に任せたりすることが当たり前の社会が形成されていきそうです!
エンジニアの未来
今回の講義でとても興味深かったのが「Agent」のお話です! 私はこれまでも仕事においてAIを活用していました。これまでのAIは人間の“助手”として動く存在でしたが、Agentはそれを一歩超えて、まるで有能な同僚のように仕事を丸ごと任せるように仕事をすべてAIによって完了させることができます!
さらに面白いのは「マルチエージェント」の仕組みです! 複数のエージェントが会話しながら協力し、コードの生成から運用・監視まで一貫して行う、まるで人間のチームメンバー同士のやり取りがAIに置き換わるイメージです! これからは、エンジニアの役割は単純なコーディングから「AIに何を任せるかを設計する側」へとシフトしつつあります!
Azure AI Foundryとモデルの進化
MicrosoftはこのAI革命を支える基盤として、Azure上で動作する「Azure AI Foundry」を構築しています。Azure AI Foundryとは、Azureが提供する統合型AIプラットフォームです。開発者・企業が生成AIアプリやエージェントを安全かつスケーラブルに構築できるように設計されたサービスになります。Azure AI Foundryでは、OpenAIのGPTシリーズ(GPT-3、GPT-4、GPT-4o)やMicrosoft独自のLLM/SLMを自由に組み合わせ、AIエージェントの作成からモデルのチューニングまで一気通貫で行うことができます!
このようなサービスが提供されている中で、「どんなエージェントを作るのか」「何を任せたいのか」を明確に描ける人こそが、これからのエンジニアリング世界で強くなると感じました!
AIネイティブな時代において「AIが作業をすべてやってくれるなら、人間は何をする?」という疑問があります。
今回の講義を通して、 人間の役割は「手を動かすこと」から「考えること・創ること」へシフトしていく と強く感じました。AIに仕事を委任できるからこそ、人間は「なぜそれをやるのか」「どんな価値を生むのか」という上流の設計・判断・クリエイティブな発想がより重要になります。
エンジニアはコードを書く“職人”ではなく、AIを使いこなす“ディレクター”のような立ち位置に進化していくのではないでしょうか!
まとめ
今回の研修では生成AIの活用について学びました! AIネイティブ時代のエンジニアとして生成AIを活用し、AIと共存していく未来がすぐそこまできています。AIに何をさせるか、何をして欲しいのかを明確に伝えることによりAIの性能を引き出すことが求められます。今後はAIの性能を最大限引き出しながら、効率的に開発し、よりクリエイティブなエンジニアになれるように頑張ります!
おわりに
参加した新卒エンジニアは各研修を通じて、さまざまな内容を幅広く学べたのではないでしょうか。また、オフライン開催ということで、他社の同期との交流もあり、きっと刺激を受けることもあったと考えています。これらの経験は、今後の業務においても大いに役立つことでしょう。みんなの活躍を期待しています!
ZOZOでは、新卒・中途に限らず、一緒にサービスを作り上げてくれる方を募集中です。ご興味ある方は以下のリンクからぜひご応募ください。
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